絵画の世界では有名絵画を模写して学ぶのが上達の有力な手段の一つになっている。だがどんなに模写が上手くなっても芸術としての価値はない。あくまでも才能を磨くための手段で、どこかで自分に戻らなければならない。山登りもしかり、最初はベテランの真似で良い、スタイルを真似てやり方を真似て身につける。どうしても同じように出来ないからと言って悲観することはない。同じように出来るようになったからと言ってもその人を越えることは出来ないから。どんなに尊敬できる岳人でもその人になろうと思っては上達はない。人に近づき越えようと努力するのではなく、自分を知ろうと努力すること、出来る自分と出来ない自分が山の中で分かれば自分の素晴らしさを知ることになる。模写した絵を越える道は全く違う方向にある。山登りも同じ、自分の価値は他人の評価で左右されるものではないが、自分を知る人の山には光るものがある。焚き火を見つめていると、いつもとは違う世界が広がる。