人生を振り返る歳になって、出来れば技術も体力も一番充実していた30代に戻りたいと漠然と思ったりするが、考えてみるとその年代は先を急ごうと、何故か常に焦って、自分を失い何かに追われるように山登りに明け暮れていた。冒険と無謀の違いも分からず、自分に何が足らないか、それを模索しては、何でも出来るような気がして、実は山以外の生活にも追われて、何も出来ないでいたのかも知れない。今の歳を、うらやむ人が必ず居る。70代は60代をうらやみ、80代は70代をうらやむ。そう考えるようになってから自分の歳で出来るものを頑張る大切さを知った。花の百名山の筆者、田中澄江が人生を振り返り、体力気力が一番充実していたのは60代と答えていたのを思い出す。今年は古希、人生を振り返り一番充実していた歳は、70代と答えられるような10年でありたい。殻に閉じこもらず、人と交わり、その中でこそ分かち合える喜びを語れる生涯でありたい。